道徳武芸研究 通臂功としての天の鳥船(1)

 道徳武芸研究 通臂功としての天の鳥船(1)

合気道の準備運動のようにして行われているのが、「天の鳥船(あめのとりふね)」であるが、これは戦前に有名であった川面凡児の提唱していた行法のひとつでもある。戦前は心身の「鍛錬」ということが軍国主義の風潮もあって広く受け入れられていた。こうした風潮の中で川面の唱える「禊」は修験道などの民間の行法を神道的なイメージにより取り込み組み立て直したもので、これを「禊」として広めたわけである。それを合気道の植芝盛平は取り入れたのであるが、盛平のおもしろいのは情報を「文字」によらずに、「言葉」によって選別していたことであろう。それは頭の使い方が「論理」より「イメージ」に偏重したものであったことによる。このためよく幻視をもしていた。「天の鳥船」も、はやっているから取り入れたというより、「何らかの感じるものがあったからやるようになった」と考えるべきなのである。ここでは盛平が「天の鳥船」において、イメージとして見たものは何であったのかを考察しようとするものである。


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