道徳武芸研究 九華派八卦掌 坤卦解(6)

 道徳武芸研究 九華派八卦掌 坤卦解(6)

坤卦では乾卦に出て来た「龍」が「野」において戦うことが記されている。そして、その「血」は「玄黄」であったとする。「玄黄」は「天地玄黄」という語でも知られるように「天」は玄(くろ)で、地は黄であるとされている。つまり「龍」は天地が一体となっていることのシンボルというわけなのである。ではなぜ天と地が合一している「龍」が戦いをしたのか。それについては「その道窮まれればなり」とある。坤卦の「技」においてそれをあまりに極めようとすることによって本来は向かうことのない「戦」へと「龍」は導かれたのであった。それは「力」を求めすぎたことによる。過度に「力」を得たらどうしてもそれを使いたくなるものである。かつて少林拳では体を徹底的に鍛える方法がいろいろと考案された。掌を鉄の如く固くすれば有効ではないかと考えて、砂や小さい豆の入った袋を打つことから初めて最後には鉄の玉を桶に入れて打つようなことまでもが試みられたが、どうしても掌は鉄のようには固くなることはなく、かえって指などの神経に異常をきたすことが多いことが分かって、こうした過度な練習は次第に行われなくなった。そこでやはり太極拳のような過度に陥らない「中庸」を心得たシステムの重要性が改めて認識されるようになるのである。


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