道徳武芸研究 九華派八卦掌 坤卦解(3)

 道徳武芸研究 九華派八卦掌 坤卦解(3)

八卦の変化でいえば一陽が兆して震(陽陰陰)となり二陽となって兌(陽陽陰)となるが、これを「進陽火」とする。さらに三陽になると乾(陽陽陽)が生じるのであるが、これは先天の両儀(虚)なので、理論上は存在するが実際には乾となることはない。これは紀元0年がないのと同じで紀元前一世紀は次は紀元一世紀につながっている。このように兌から一陽が増えると同時に一陰が生まれて巽(陰陽陽)となる。そして二陰が生じて艮(陰陰陽)となる。これを退陰符とする。さらに三陰となっても坤(陰陰陰)は実際には現れることがなく、同時に一陽が生じて震となる。こうした循環を実際に促しているのは坎と離で、また震(陽陰陰)と艮(陰陰陽)、兌(陽陽陰)と巽(陰陽陽)は互いに対の関係にある。以上が三つの陰陽による八卦のシステムであるが、現在の「易経」は六つの陰陽を使っている。例えば乾であれば(陽陽陽 陽陽陽)で八卦の乾(陽陽陽)が更に重なる形になっている。この六十四卦は、八卦はまた別のシステムとして九華派では考えており、八卦は先天の両儀の乾坤と後天の両義の坎離を中心に震、兌、巽、艮から成り立っているとする。このように本来は陰と陽だけの単純な世界観を示すものであった両儀が、四象へそして八卦へと複雑化が進んで最後には六十四卦へと至ることになるわけであるが、いろいろな異なったシステムをひとつに重ねようとするのは中国文化の特色であり、よろしく無いところでもある。真理は一つであるから、あらゆる正しいシステムは一つに統合できるとして、八卦から五行、干支などいろいろなシステムが一つに統合されることで個々においては有効であったシステムも単なる迷信と化してしまうことになっている。


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