道徳武芸研究 九華派八卦掌 坤卦解(2)

 道徳武芸研究 九華派八卦掌 坤卦解(2)

初めは「陰」と「陽」だけであった「易」は、次に四象が見出されるようになると「陽陽」から「陰陽」となり「陰陰」から「陽陰」となるとする変化、循環が考えられるようになった。このシステムにおいては永遠に陰から陽へとの循環が存しており、昼夜や日月などの運行を見てもそうした永遠なる巡行(周天)が分かると見なされた。ではこのような変化や循環はどうして生じるのか。ここに「陰陽互蔵」という考え方が生まれる。「陽陽」と「陰陰」ではつながりが全く無い。そこで変化の軸は坎(陰陽陰)と離(陽陰陰)といった互いに陰陽を持っていてしかも対になっているものにおいて結びつきが生まれるのではないかと考えられるようになるのである。九華派では坎離を「後天の両儀」として、これを変化の基軸とする。また後天の両儀は乾坤である「先天の両儀」に還ろうとするので、坎(陰陽陰)は坤(陰陰陰)へと還るために「陰」を求め、離(陽陰陽)は乾(陽陽陽)へと還ろうとするので「陽」を求める。ここにおいて離の一陰が動き、坎の一陽が動くことになり、こうした陰陽を表現するには三つが必要となった。それによって先天(不易 変わらない)と後天(流行 変わる)が共に示されることとなるのである。八卦の残りの震(陽陰陰)から兌換(陽陽陰)は陰から陽へと向かう「進陽火」を示しており、巽(陰陽陽)から艮(陰陰陽)は陽から陰へと向かう「退陰符」を表すと考える。


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