道徳武芸研究 九華派八卦掌 坤卦解(1)

 道徳武芸研究 九華派八卦掌 坤卦解(1)

先に乾卦については触れたが、ここで九華派における「易」の理解について簡単に述べておこうと思う。現在「易」とされているのは「易経」で、これは古代の周のい国で行われていた「易」であるとされ、他にも「易」を用いて自然の深奥を知ろうとした体系は存していたようである。その中で最も優れたものとして儒教では「周易」が選ばれ研究された。九華派では易の根本は乾坤であって、「易」が八卦となる前の最も古くには陰陽によってこの世は構成されている世界観があったとする。この時には今日の易のように乾(陽陽陽)ではなく単に「陽」と「陰」だけであったと考える。確かにこの世は「天地」や「男女」「上下」「左右」など対になるものによって構成されている。九華派では乾坤を「先天の両儀」とする。これは変化のないものである。さらに時代が下ると、この世の中には対になって変わらないものだけではなく変化をするものがあることが認識されるようになった。これが四象である。四象では陰陽・乾坤の他に「陽から陰」「陰から陽」への変化を示す必要が生じて来た。そのため「陽から陰」は「陰陽」で示さなければならなくなり、「陰から陽」は「陽陰」で示す必要が生まれた。そうなると乾坤・陰陽も「陽陽」「陰陰」となり、二つが用いられるようになった。こうして時代を追って「易」が複雑化して行ったと考えるのである。


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