道徳武芸研究 武術における「実戦」性(1)

 道徳武芸研究 武術における「実戦」性(1)

武術を練習している人にとっては、その濃淡はあっても「実戦」性をまったく考えない人はあるまい。つまり武術における「実戦」性とは、何らかの「技術」によるもので、それは通常の力を使った場合よりも大きな効果を得るものでなければならない。相手を投げるという行為は、その形が同じであれば、それが力任せであっても、精緻な技法を駆使したものであってもダメージとしては何ら変わりのないものである。また武術における技術の「力」は無限ではない。技法をいくら駆使しても、基本的な体力にあまりに大きな差があれば、それを凌駕することはできない。いわゆる「蛮力」に負けてしまうこともあるのである。また戦場などでは純粋な攻防の力の優劣以外に「運」のようなものもおおきく関係して来る。これは日常における実戦でも、何時襲われるか分からないということでは同様なことがいえよう。こうして見ると武術における「実戦」性とは「体力」「技術」「運命」の三つの要素が関係していることが分かる。その中で個々人が練習して習得できるのは「体力」と「技術」の部分に限られる。これが武術における「体」と「用」である。


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