道徳武芸研究 ○、△、□の力(2)

 道徳武芸研究 ○、△、□の力(2)

それでは胎蔵界曼荼羅ではどうであろうか。これも「□」で結界が切ってあるが、それは同心円状「○」に積み重ねられている。そして中央には「△」が明確に描かれる。胎蔵界の大日如来はすでに曼荼羅に「△」が描かれているので智拳印で瞑想をしている姿で「△」を示す必要がなくなり、一般的にな仏教の瞑想に用いられる印である法界定印を結んでいる。このように密教の二つの曼荼羅は「○、△、□」の象徴で構成されていることが分かる。またこうした記号を武術的に解釈するなら「△」は力の集中であり、「○」は螺旋のような巻き込む働き、そして「□」は安定、静ということになろう。武術ということを狭く捉えるならば「△」と「○」で完結する。そしてそれに静坐である「□」をさらに修することで心法を煉ることが可能となることがこうした記号の解釈を通して構造的に知ることができる。形意拳と八卦掌がともに練習されるようになったのは、形意拳の「△」には八卦掌の「○」が必要であったからに他ならない。すでに説明したことがあるが形意拳では滾勁という螺旋の力を奥義として研究していた。それを表現するものとして最も適当であったのが八卦掌であった。ためにそれを取り入れたわけである。陳家太極拳は昔は陳家砲捶という激しい「△」の形を専らとしていたが、陳長興の時に太極拳を取り入れて現在「一路」とされる套路が考案される。これにより「○」の練習か可能となり陳家砲捶は陳家太極拳「二路」としてシステム上、大いに完成度を高めることになるのである。


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