道徳武芸研究 詠春拳と八極拳(2)

 道徳武芸研究 詠春拳と八極拳(2)

八極拳は中国の一地域で練られている武術に過ぎなかったが、たまたまそれを学んだ劉雲樵が台湾に渡っており、松田隆智が師事したために日本で八極拳が注目されるようになった。一方、アメリカではブルース・リーが香港で習得していた詠春拳や創始した截拳道が広まった。香港は日本にも近いが不思議なことに詠春拳に関心が集まることは驚くほど少なかったように思われる。それは南拳は力任せである、とする価値観が定着していたからかもしれない。こうした価値観を松田が広めたとことは先にも触れたが、伝統的に日本では「力を使わない武術」が高級とされる傾向が前提としてあったことも事実であり、それは近世から続く「柔(やわら)」の伝統につらなるものでもある。武術家としてのブルース・リーのブームは日本ではしばらくすると失われて行くが、アメリカでは現在でもブルース・リーのファンはかなり多く、截拳道への関心も深いようである。截拳道は「截拳道概念」という考え方がベースとなっていて、技そのものいろいろな武術から取り入れたりして自由に組み立てることができる。


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