道徳武芸研究 詠春拳と八極拳(1)

 道徳武芸研究 詠春拳と八極拳(1)

ブルース・リーの映画「燃えよ!ドラゴン」が公開されてから世界的な中国武術ブームが起こるわけであるが、こうしたブルース・リー熱は中国武術への関心を多くの人に促すことになる。その結果としてアメリカでは詠春拳が、日本では八極拳が人気を博することになった。ただ日本では当初はブルース・リーの映画を「カラテ映画」としており、空手や少林寺拳法を習う若者が急増したという事実もある。しばらくして、中国武術への認識も深まるようになると、こうした映画は「功夫映画」であり、ブルース・リーが使うのは空手ではなく、中国武術であることが知られるようになってくる。当初から映画雑誌などで中国武術の正しい情報を提供していたのは松田隆智で、それによって日本での中国武術への認識が深まると共にそれは松田の持つ価値観がそのまま広まることにもなって行った。ために「最高の中国武術は八極拳である」「陳家太極拳は一般的な太極拳とは違って実戦的」「南派の武術は力任せで、勁という特殊な力を使う北派に比べて劣っている」などとする誤解も受け入れられてしまうのであった。そのため日本では「最強の中国武術」としての八極拳の習得を希望する人が多くなって行った。


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