道徳武芸研究 九華派八卦掌 乾卦解(2)

 道徳武芸研究 九華派八卦掌 乾卦解(2)

乾卦は純陽で「陽」だけの卦であり、そこには「龍」のシンボルを多く見ることができる。最初は「龍潜(ひそ)む(潜龍)」とある。この「龍」というのは先天真陽の一気のことで、「龍」という象徴からすればヨーガのクンダリーニの方がより分かり安いのかもしれない。要するに先天真陽の一気とされるエネルギーは「龍」や「クンダリーニ(蛇)」のような螺旋の状態もものとして感得されるわけである。中国武術で往々にして「螺旋」の動きが重視されるのはここに淵源している。そしてそれを実際に体験するのが次の「龍を見る」である。静坐では「煉己」と称される段階で「虚」を感得して、ある種のオカルティックな力を体験することになる。「龍」は肉眼では見ることができない。そうしたものを「見る」つまり体験するのがこの段階となる。これは「静」を得ることによって実現するといわれている。この「龍を見る」でおもしろいのは「田に在り」としていることで、龍が田に居るのを見ると「易経」にはある。龍といえば深い池や海の底に居るのが普通で田の中に居るとするのは奇異のように思えるが実はここでの「龍」とは「蛇」のことなのである。ヨーガではクンダリーニ・シャクティともいわれるように、クンダリーニという聖なるところに向かうエネルギーの根源にはシャクティなる生命の始原的な力が宿されているのであって、それを浄化して聖なるレベルまで高めるのがクンダリーニの覚醒とされる行程となるわけである。こうした始原のエネルギーは「蛇」と感得される。


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