道徳武芸研究 九華派八卦掌 乾卦解(1)
道徳武芸研究 九華派八卦掌 乾卦解(1)
ここでは九華派八卦掌居敬窮理学派の立場からの「易経」の解説を行おうと考えている。九華派八卦掌居敬窮理学派は、九華山が董海川(八卦掌)や王陽明(静坐)と関係していることから居敬窮理学派の静坐と龍形八卦掌が癒合して名付けられたものである。それはともかく九華派では「易経は八卦掌の注釈書」と考える。これは鄭曼青も同様で「易経を読めば太極拳が分かる」と教えていた。八卦掌にしろ、太極拳にしろその根本とするところは自然そのものであるのであるから自然と人とのあり方を知ろうとした「易経」をベースとしてそ武術を深く体認することは当然あり得るべきことなのである。さて九華派では、乾卦と坤卦はひとつのものと考え、そしてそれを「体」と「用」と位置付ける。これは陽と陰であるから「易経」の森羅万象が陰陽で成り立っているとする基本の考えと同じところに立っているということになる。「易経」は六十四の卦があるが、その根本は陰陽(両儀)で、それが八卦に展開され、更には六十四卦に分かれることになる。八卦掌の八本の形をそれぞれ八卦にあてはめることも古くから行われているが、それ自体にはほとんど意味はない。加えて門派によっては六十四卦もそれぞれ形を考案していることもある。しかし、こうなるとあまりに余計な形がそこに混入してしまうことになり、結果として実質的に練習をして行く上で「易経」との関係を考えることもできなくなってしまっている。