宋常星『太上道徳経講義」(8ー10)
宋常星『太上道徳経講義」(8ー10)
善時に動く。
物質としての水は、丸い器に入れれば丸く収まるし、四角の器に入れてもそれに収まる。穴に満つればあふれるし、天において活動が盛んになれば雨となる。人のあるべき行いにおいて逆らうことなく、天の時に違うこともない。こうしたすべてが善なる水の時を得たすばらしい働きなのである。人は天の時を違えることはできない。人のあるべき行いの時に違うことはできないのである。そうであるから行われうるべき時には行われ、止めるべき時には止められなければならない。何事も不適切に為されることはなく、何事も不適切に発言されることもない。それはまた水が「適切な時に働く(善時に動く)」ということなのである。
〈奥義伝開〉「善時」は「天機」でもある。つまり変化の時である。変化するべき時に適切な変化が行われなければならない。ただこの「天機」はそれをねらって行おうとしても行うことはできない。人の意図が入れば天機にちょうど合わせることはできないのである。そうであるので無為自然にしておれば良い。無為自然であれば自ずから天機と同調しているので、「善時」に動かないことはない。これまでなんとか占いなどで「天機」を知ろうとする努力がなされて来たがすべては失敗している。それは人為で知ることのできない「自然」の働きであるからである。