道徳武芸研究 形意拳の当身・七拳十四処打法(1)

 道徳武芸研究 形意拳の当身・七拳十四処打法(1)

形意拳には「七拳十四処打法」という打法の歌訣がある。これは頭、手、肘、肩、胯、膝、足を用いての「打法」の秘訣なのであるが、こうした部位を使う「打法」がどうして秘訣とされているのであろうか。それはこれらの「打法」が一般的な突きや蹴りとは異なるものであるからに他ならない。つまりそれは日本でいうところの「当身」というべきものなのである。「当身」は単なる突きや蹴りとは違っている。一般的な打法で用いられるのは七拳の中では手、肘、膝、足といったところであろう。一部に頭突きとして頭も用いられることもある。ただ頭突きの破壊力そのものはそれ程大きくはないので、これはむしろ「当身」ととらえる方が妥当であるかもしれない。つまり「当身」において肉体レベルでの破壊力を求めるのではなく、相手の意識を撹乱して戦闘意欲をなくさせることを目的とする。攻防において最も重要なことは相手の戦闘意欲を削ぐことにあることはいうまでもなかろう。かなりのダメージを体に与えても戦闘意欲が高い時には戦い続けることができるものである。一方、戦闘に限らず何事においても意欲がなくなれば人は何も出来なくなってしまう。


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