道徳武芸研究 形意拳、八卦拳で「心」を開く(5)

 道徳武芸研究 形意拳、八卦拳で「心」を開く(5)

静坐でも形意拳(子午トウ)でも、八卦拳(丹鳳朝陽)でも「心」を開くのは上下の気の流れを整える必要のあることを先に見てきた。これは静坐では「坎離の合一」という。坎は腎で、離は心であるから坎と離とが合一するとは、腎と心がひつになることであるので、ここでも上下の気の流れを見ることができる。こうして「心」を開いて静を得る。そして次には「肺」を開いて「柔」を得るわけである。この時には静の呼吸が行われる。ここで興味深いのは日本刀の操法であろう。日本刀は基本的には人体の中心ラインを上下する運動を取る。つまりこうした運動は上下の気の流れを導くのであるから心を沈め、また肺を開く効果も期待されるわけである。これは刀を両手で使うということの意義を見出したからに他ならない。あえて言うなら劈拳の動きは日本刀の操法に極めて近いとすることも可能であろう。このように優れた武術には共通して「心」を開き、「肺」を開いて呼吸を開くというプロセスが見て取ることが可能なのである。


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