外伝10孫禄堂の「道芸」研究(41)

 外伝10孫禄堂の「道芸」研究(41)

横着分開(十字擺蓮学)

現在、多くの孫家の演武では擺脚ではなくトウ脚を用いている。これは楊家でも同様で、新架(澄甫架)では十字トウ脚と称していることもある。それは前に出る勢のあるトウ脚の方が次の技につなげやすいからであり、また擺脚がやや難しい動きであることも関係していよう。十字擺蓮では「横着分開」が拳訣として挙げられているが、これは漢文調で読めば「横に分開を着(ほどこ)す」となる。また中国語では「横に分開する」と読むことができる。楊家では転身をする勢を使って腿法を用いるが、孫家では十字に重ねた両掌を一気に左右に開く勢を用いる。これは「合」から「開」の身法であり、また「縮」から「伸」への展開でもある。このように手(梢節)が全身の動きを導くのは形意拳の特徴といえよう。太極拳では「脚」が勢の基本となるので転身をする勢を利用するわけである。


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