外伝10孫禄堂の「道芸」研究(37)

 外伝10孫禄堂の「道芸」研究(37)

円圏相套(野馬分ソウ学)

孫家の野馬分ソウ(髪の下が友ではなく宗の時。馬のたて髪の意)は両掌を丸く回す形となる。この時の両手の動きが円を二つ連ねたような形となるので『太極拳学』には◯が部分的に重なる図が示されている。「相套」は「相い套(かさ)ねる」で円が重なることを意味している。動きとしては雲手とほぼ同じであるが、雲手は横への勢いのみであるがので円が重ならない。一方、野馬分ソウでは右左、それに前後の動きが入るために円が重なりを持つことになる。あえていうなら孫禄堂は太極拳を「小円圏としての合手」と「大円圏としての雲手」で構成されており、その変化としていろいろな手形が派生していると考えることができる。また、これが滾勁の表現であることはいうまでもあるまい。


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