外伝10孫禄堂の「道芸」研究(36)

 外伝10孫禄堂の「道芸」研究(36)

輪一円圏(披身伏虎学)

孫家では「円圏」の動きを両手の拳をして行うがこれは畳捶と称される用い方で比較的古い少林拳に見ることができる。太極拳で両掌で推すのもその名残りといえよう。孫家の「畳捶」は八卦拳の羅漢拳と非常に似ている。孫禄堂は八卦掌の程廷華から何らかの羅漢拳の情報を得ていたのかもしれない。かつては両手に手斧のようなものを持って戦っていたらしいその名残とも思われる。詠春拳の八斬刀なども、形としては洗練したものとなっているが、その動きはあたかも中華包丁を振り回しているような感じを受けるもので「畳捶」の古い形をうかがわせるのに十分である。翻身二起の小さな「円圏」が、ここでは大きな「円圏」として展開される。こうして勢が連環して「円圏」を通して伝えられるのであるが、「一小円圏」の「一」も、そうであるが「一円圏を輪(まわ)す」の「一」は共に「おおいなる」であるとか「根源」という意味で、これにはいろいろな大きさの「円圏」への展開が内包されている。ただ「小」だけに限定されるものではないことに留意しなければならない。


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