外伝10孫禄堂の「道芸」研究(28)
外伝10孫禄堂の「道芸」研究(28)
両相互感(三通背学3)
次は転身をして左構えから右構えに入れ替えるだけであるが、この時に両手の勁は前に伸びるも、肩は伸び切らず(回縮)、腰は少しく沈むような感じとなる。いうならば単純な左右を入れ替えるだけの動作であるが、ここには転身の妙が含まれている。また合気道でいうならば入身転換であり、動きとしては四方投げに近く、ここに示された拳訣は入身転換を行うための奥義でもある。およそ四方投げは実戦技法としては無理の多いものであるが、合気道でよく練習されているのは、これが入身転換の基礎を養うに最も優れた動きであるからに他ならない。四方投げを奥義として練習するためには、ここに記したような手、肩、腰の拳訣をよく知っておく必必要がある。こうした拳訣を守ることで転身をしていても全身の内外の勁と神気が「収斂」して乱れることがない。