外伝10孫禄堂の「道芸」研究(24)
外伝10孫禄堂の「道芸」研究(24)
全注丹田(倒輦猴学)中
孫家の倒輦猴の形は王樹金の形意拳の構えと似ている。通常、形意拳の半身の構えにおいて下の掌は斜めにするが、王樹金は真横に近いところに置いている。これは倒輦猴の形と極めて似ている。ちなみに孫禄堂は形意拳においては一般的な構えである掌を斜めにしたものを取っている。晩年、王樹金は八卦掌の套路を多く考案したが、王の形意拳の構えが孫家の倒輦猴と似ているのは、それが「滾」勁をベースとしていることを示すものと考えることが可能ではなかろうか。
倒輦猴=滾勁=八卦掌=王樹金
という図式が考えられるのではないかと思われるのである。滾勁は形意拳において八卦掌を取り入れることで大いに研究されたことはここでも縷々述べて来た。王は「四連拳」という双辺太極拳に似たものを双辺を学ぶ前に習得していたとされるが、あるいはこれは孫家太極拳(かその一部)であったのかもしれない。