外伝10孫禄堂の「道芸」研究(23)
外伝10孫禄堂の「道芸」研究(23)
全注丹田(倒輦猴学)上
孫家の倒輦猴は斜め後方にロウ膝ヨウ歩を繰り替えすもので、これには「一気串成」の拳訣がある。この形は楊露禅の伝えた套路にあったものと思われ、武家や呉家でも等しくロウ膝ヨウ歩の形を見ることができる。なぜ倒輦猴で「全注丹田」となるのか。それは「滾」勁が養われるからと孫禄堂はしている。つまり孫家の倒輦猴の動きは「円球」に等しいものであり、「一周圏」を練るものとする。つまり途切れることのない「円」の動きを練ることで周天が生じて全身の気が下丹田に鎮まることになるわけである。また孫禄堂はこうした状態は静が極まる点においては坐功(静坐)と同じであるとしている。つまり滾勁は丹田に気が鎮まることで自然の周天が生ずることで養われるものなのである。