外伝10孫禄堂の「道芸」研究(22)
外伝10孫禄堂の「道芸」研究(22)
伸縮一気(肘下看捶学)
孫家では腕は伸ばしたままにして、足を後ろに回縮させる。腕の「伸」と足の「縮」を同時に行うところに伸縮一気の妙がある。ただ楊家でも、呉家でも、肘底(下)看捶は前への「勢」となる。それが大圏から小圏へと変化をする。太極拳では「伸」と「縮」を同時に行うことはないが、双辺ではこれを明確に行い形意拳の讃拳を下がる「勢」をもって行う。こうした意味において孫家のひじょうに特色にある肘下看捶を双辺太極拳は受け継いでいるとすることができるであろう。孫禄堂はこの勁を「虚霊の情」において行われるものとしている。これは太極拳の拳訣である「捨己従人」と同じで、「虚」は「捨己」で相手の動静に合わせること、「霊」は「従人」で相手をコントロールしながら動くことをいう。