第五章 合気道奥義・山彦の道(2)
第五章 合気道奥義・山彦の道(2)
およそ入身の歩法には「直」と「斜」があると中国武術ではされている。大東流は比較的「直」の入身を多く用いるが、合気道では「斜」が主となるので相手を右転、左転させるような技法が多くなっている。大東流が「直」の入身を多用するのは武田惣角が小野派一刀流を修行していたことと関係しているのかもしれない。剣術においては一般的に「直」の入身が多い。ただ新陰流では「斜」を用いて技術革新を試みた。この方法によれば愛相手の攻撃を直接受けないので、どのような強い攻撃であってもそれを考慮する必要がなくなった。また柔術において刀を持った相手に対する時には、どうしても素手で刀に対抗することはできないので斜めの入身を用いるしかない。斜めの入身は刀を持つことのできない武士以外の人たちや刀を使うことのできない殿中などで抜刀して来る相手に対抗する手法として近世にはおおいに発展して行くことになる。