外伝8 形意十二形を練る(16)

 外伝8 形意十二形を練る(16)

また龍形は太極拳の秘伝である採腿と同じともいえる。採腿は動きとしては太極拳のトウ脚と似ているが、これは力の集中を練るもので、太極拳では「全体力」の秘訣を伝えている。体を「合」から「開」へと移すことで力を発するわけである。基本的には足裏に力を集めるのであるが、これに習熟すれば拳や肘などにも力を集めることが可能となる。龍には特に「縮骨」の秘訣が伝えられている。これは既に述べた「合」と同じであり、形意拳では一般的には「束」と称される。ただニュアンスとしては「束」が体の中心軸に力を溜めるような感じになるのに対して「縮骨」は体全体が縮まり「団子」になるようなニュアンスがある。そしてその一角が開放されてホースで水が発せられるように一気に力が開放されることで力を発するのである。こうした身法を練るのが龍形であるといえよう。龍形の「縮骨」は八卦掌の「縮身」とも似ている。こうしたところから形意拳に伝わる八卦掌が往々にして龍形を冠して伝えられるのである。


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