外伝8 形意十二形を練る(5)
外伝8 形意十二形を練る(5)
形意拳の基本は「三才式」にある。三才式は岳飛が考案したものと考えられる「中段の構え」である。これが何故、大きな発見であったのか。それは動きの変化の基本が三才式にあることを解明し得たところにあった。三才とは「天、人、地」で、これらは「上段、中段、下段」を表している。中段の構え(三才式)のみが、容易に上段、下段への変化を可能とする。このことが岳飛によって示されたのであった(実際は岳飛ではないかもしれないが、形意拳ではそうなっている)。「三才式」は三才式を移動して練る「三体式」、そして五行拳では「劈拳」、十二形拳では「熊鷹形拳」としてシステムの基幹をなすものとなっている。そうであるから十二形拳のシステムを考える上でも、「熊鷹形拳」が中心とならなければならないわけである。ちなみに崩拳には半歩崩拳があるが、これは「三体式」や「劈拳」と同じく、順と逆で構成されている。「順」とは右手が前なら右足が前となる姿勢で、「逆」は左手、右足となる組み合わせである。わざわざこうした動きを崩拳に加えたのは如何に形意拳において「三才式」(その変化としての三体式、劈拳)が重視されていたかを示していよう。