外伝8 形意十二形を練る(1)
外伝8 形意十二形を練る(1)
(注 ここでは形意拳の十二形拳を解説するが、その動きは伝承系統によって必ずしも同じではない部分がある。ここで述べているのは九華派八卦掌に含まれる形意拳の套路であるが、陳ハン嶺の伝えたものである)
形意拳には五行拳と十二形拳という大きな体系がある。十二形拳は動物などの動きを真似たもので、こうした類の拳術を一般的には「象形拳」と称する。象形拳にはジャッキー・チェンの映画「蛇拳」でも知られた蛇拳などがある。他には猿の動きを真似た猴拳、また南拳の名拳としては鶴拳も広く練習されている。ブルース・リーが修行したこともあって何度も映画にとりあげられている詠春拳も鶴拳から派生した一派である。往々にして南拳というと剛力のイメージがあるが、詠春拳などは柔らかな部分もあって相手の力を抑えて封じてしまう高度な技術を有している。蟷螂拳は北方でも南方でも存している。また実在はしないが龍は広く武術に取り入れられており、八卦拳も龍をイメージした動きがベースとである。中国でどのような動物が武術に取り入れられているかを調べることは、中国文化の中ででどのようなイメージが「動物」について涵養されていたかを知る良い手がかりとなり、いうならば「動物の精神史」を知る手がかりともなるものである。