第九十三話 簡易と簡化の太極拳(8)
第九十三話 簡易と簡化の太極拳(8)
鄭曼青も簡易式の制定は多くの人が学びやすいように短い時間で練習できること、また重要な技を選んでそれを繰り返すことで学習効果をあげやすくしたことを意図したと述べている。しかし、実際はそれは表面的な理由であって、鄭曼青は「太極拳の本来の形」を簡易式で示そうとしたのであった。それを証しするものとしては「盪」という概念を重視したこと、また著書に『太極拳十三篇』とあること、鄭曼青は自身の制定した太極拳を「簡易式」と称していたことなどがあげられる。十三篇とは張三豊が創始した「太極拳」が十三勢と称されたことに関係している。つまり簡易式は「十三勢」であるとをこの書名は暗に示しているわけである。