第九十四話 龍形八卦掌における投げ技への展開(9)

第九十四話 龍形八卦掌における投げ技への展開(9)

八卦拳では特に「投げ技」への展開が意識されることはないが、形意拳にあっても当初はあくまで入身の歩法を得るために八卦掌は取り入れられたのである。ただ興味深いことは、八母掌の羅漢拳システムでの展開である八掌拳において扣歩の変化としての投げ技が含まれていることである。そして八掌拳における身法は「龍形八卦掌」の換掌の身法とほぼ同じなのである。「龍形八卦掌」の片足をあげる換掌では本来は扣歩を十分に利かせるものであるが、これは八掌拳でも同様で、その違いは八掌拳が一連の流れで扣歩を用いているのに対して「龍形」では扣歩の構えで一瞬、止まるところのみである。こうして見ると、あるいは「龍形」で八卦掌の中でも特異な片足をあげる動作を取るのは八卦拳・八掌拳につらなる何らかの情報がベースにあったからなのではないかと思われるのである。

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