第九十四話 龍形八卦掌における投げ技への展開(5)

第九十四話 龍形八卦掌における投げ技への展開(5)

龍形八卦掌という名称は形意門では黄柏年がその著書『龍形八卦掌』で用いている。形意門では十二形の龍形の変化として八卦掌を取り入れた。形意拳において「龍」が象徴しているのは滾勁である。ウネウネと途切れることのない動きを「龍」と見たわけである。これは十二形の蛇形でも良さそうであるが、龍は空中に居ることも出来るので上下と左右の変化がある。一方で蛇は地上を離れることがないため上下の動きがない。そうであるから上下左右の変化を共に重視する八卦掌を取り入れるには「龍」形でなければならなかったのである。これをより明確に示したのは陳ハン嶺が伝えた「龍形八卦掌」で、換掌の時に片足を上げる動作は形意拳の龍形に含まれる狸猫上樹によるものであるる(これはかつて指摘をしておいた)。

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