道徳武芸研究 魂の比礼振りとしての合気道(10)

 道徳武芸研究 魂の比礼振りとしての合気道(10)

『兵法三十六計』に記されていることはまさに合気道や八卦拳の教えということができる。ちなみに三十六計の前の三十五計には「連環の計」とあり、多人数の相手に対する方法が記されている。そこでは「それ自ずから累(かさ)ねしめ、もってその勢いを殺す」と説明されている。つまり入り身によって複数の相手が同時に攻撃できない位置に自分を置く、ということである。これは合気道の多人数掛けを見れば明らかであろう。また八卦拳が円周上を歩いてこうした入り身を練るのは、丸く途切れのない入り身を練るためであり、そうしたことは「連環」という語でよく示されている。同じニュアンスは新陰流の「転(まろばし)」にも見ることができる。転がるような身法、歩法による入り身によって相手の勢いを殺すことができるわけである。ちなみに日本では聖徳太子の時には争いに対するのに「和(やわらかき)」が重要であることが見出されており、それが中世の剣術では陰流となって新陰流で「転」が考案されて、近代に柔術で「柔(やわら)」の語が強調されるようになるわけである。それがまた現代では「魂」の比礼触れとして結実されているのである。


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