外伝10孫禄堂の「道芸」研究(35)

 外伝10孫禄堂の「道芸」研究(35)

一小円圏(翻身二起学)

翻身二起では手の「円圏」の動きを身法へと反映させて、それを腿法へ伝える。腿法の動きは身法に及んで腕の動きとなる。本来こうした動きの連環性は他の太極拳にはないものである。二起(脚)といえば飛びながら左、右と蹴る二段蹴りのイメージが強いが、二起(脚)は連続して二度蹴るもので必ずしも飛び蹴りをする必要はない。八卦拳では体を斜めにして二度蹴るが、これには回し蹴りの勢も含まれている(実歩拳)。劉雲樵はこの蹴りが気に入ったのか大八極に取り入れた。劉の八極拳を受け継ぐ弟子の中にはこの蹴り方をする人も居る。楊家では左、右と連続して蹴る。一小円圏は勢を連続して伝えるための方法であり、太極拳には乱環訣なる拳訣もある。「乱」は「つなぐ」の意で環をつなぐのであるが、ここで具体的に用いられるのが「一小円圏」となる(以下「円圏」についての説明が続くので参考にして頂きたい)。


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