外伝9鄭曼青の学んだ「奥義」〜方拳と円拳〜(10)
外伝9鄭曼青の学んだ「奥義」〜方拳と円拳〜(10)
一般的な拳術が主として「中心軸」だけを使うのに対して、太極拳では左右にも軸があると考える。これは推手で相手と完全に向かい合う形をとることとも関係している。推手で相手と向かい合うのは中心軸から左右の軸を使って相手の力を流して(化、走)しまうことを目的としているからに他ならない。通常の対打は互いに半身で対する。これは中心軸がぶれることなく攻防の動きを行えるようにするためである。つまり安定した強い中心軸があれば威力の大きい相手の攻撃も受けることができるわけである。一方、太極拳では相手の力を左右へと流してしまう。ただ相手の力を外すだけなら中心軸だけで良いが、それを捕捉したまま(粘、連)攻防を転換しようとするのであれば左右に軸を立てる必要があったのである。