道徳武芸研究 フラヌールとしての八卦拳(3)

 道徳武芸研究 フラヌールとしての八卦拳(3)

フラヌールという語は、日本ではあまり耳慣れない語であるが、現在、町田市の国際版画美術館では「幻想のフラヌール―版画家たちの夢・現・幻」展が行われている。そこで配布されているパンフレットには「展示室を彷徨いながら作品を鑑賞ー観察することで次第に疲労していく眼と精神は一種の陶酔をもたらすだろう。言うまでもなく鑑賞者ー観者も〈フラヌール〉なのである」と記されている。そこに展示されているのは超「現実」ともいうべき世界で、外的な世界に触発されて働く人の意識の根源を見つめようとした作品である。また日常生活では覆い隠されてしまうような根源的な意識のあり方をなんとか作品に結実させようとする努力をうかがわせるものでもある。こうした作品は広い意味でマンダラということができるかもしれない。つまり「幻想のフラヌール」展の会場は、歩くマンダラ瞑想の場であるともいえるわけである。


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