道徳武芸研究 山西派形意拳小考(1)

 道徳武芸研究 山西派形意拳小考(1)

山西派では、河北派などで掌で行う劈拳が拳に変更されている。ここでは、その原因を八卦拳に求めようとするものである。山西派は孫禄堂が八卦拳をもたらしたことで際立った特色を持つようになった。円周上を歩く盤根などもこれは八卦拳の走圏そのものである。また形意拳の三体式は形意拳の原形ともいうべきものであるが、これは擺歩で踏み出すと同時に拳を出して相手の攻撃を受けて、更に一歩を踏み出し掌を打つ技法である。これがどうして数ある中国武術の中でも「高級」とされる形意拳を形作る基となったかといえば、それは「鷹足」という技法(擺歩で入身をして相手の攻撃を捉える)があったからに他ならない。「鷹足」を開発したことで、相手の攻撃を充分に捉えて反撃できるようになったのである。それ以前は反応の速さで攻防における優位性を求めようとしていたのであるが、それだけでは限界のあることが分かり、新たなる方法として「相手を捉える」ということが見出されてたのであった。


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