道徳武芸研究 「呪物」と套路〜形、功、法の視点から〜(1)

 道徳武芸研究 「呪物」と套路〜形、功、法の視点から〜(1)

「形、功、法」は」中国武術で使われる用語であるが、これらが密接に関係することで「形」は一種の「力」を持つとされている。武術で言えば「勁力」であり、「呪物」で言えば「霊力」ということになろう。さてネットの怪談界で「呪物」なるものが注目され始めて何年か経つと思われる。「呪物」には呪いに使う物であったり、神仏の像、不思議を起こすとされる人形などいろいろなものがあるという。そういった「物」が「呪物」となるには、そこに「物語」が付随していなければならない。そして、この「物語」の部分が「怪談」として語られることになる。つまり「物」が「呪物」となるには、またそこに付随する「物語=怪談」を受け止め得る「形」をしていなければならないわけでもある。人はそうした「形」の不完全さや特異性に不安や慴れを感じるわけである。ただ「呪物」といえば新しいもののように聞こえるが「物」が「霊力」を持つことは古くは付喪神として知られていた。九十九年を経て百年存在し続けることのできた「物」は付喪神となって特別な「霊力」を持つとされたのである。武術の「套路」もそれが単なる「動作」と違うのは、そこに何らかの「力」の存在を感じさせるところにある。


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