道徳武芸研究 ショウ泥歩と白鶴亮翅(3)

 道徳武芸研究 ショウ泥歩と白鶴亮翅(3)

太極拳の白「鶴」亮翅は、陳家では白「鵞」亮翅とされることがある。そして陳家の影響を受けた武家や孫家でも「鵞」が用いられている。これは後に触れるように「白鶴亮翅」と太極拳の白鶴亮翅の動きが合っていないことを武禹襄も感じていたことを示すものと言えよう。中国で「鶴」は仙人の乗り物としてのイメージがある。一方「鵞」は家の庭などで飼われていて親しみが深い。書聖とされる王羲之が好んだことでも有名である。では本来の太極拳である楊家の伝承と、それから派生した陳家の伝承でどうして「鶴」と「鵞」という字の異同が生まれたのであろうか。考えられることは中国武術には白鶴亮翅を初めとし黒熊出洞や白蛇吐進など、一定の決まった形を持つ技の名があることがその背景にあるように思われる。白鶴亮翅も多くの門派でこの名を有する技がある。八卦拳にもある。そのパターンとしては鶴の形であるから「両手を丸く挙げて片足で立つ」というのが一般的である。ちなみに太極拳のように片手を挙げるのは丹鳳朝陽の形とされる。この矛盾を解決するために呉家太極拳では、両手を丸く挙げる形に白鶴亮翅を改めている。こうして技法名と技法とを一致させたわけである。


このブログの人気の投稿

道徳武芸研究 八卦拳の変化と蟷螂拳の分身八肘(8)

道徳武芸研究 改めての「合気」と「発勁」(6)

道徳武芸研究 八卦拳から合気道を考える〜単双換掌と表裏〜(4)