道徳武芸研究 沖田総司の三段突きと「八寸の延金」(2)

 道徳武芸研究 沖田総司の三段突きと「八寸の延金」(2)

かつて少林寺の武芸は棍術で知られていた。中国で拳術が中心となるのは近代以降でそれまでは棍や槍を主としていた。形意拳や八極拳が「槍から出た」とされるのも近代以前に拳術が中核になかったことを示している。他に軍隊などでは刀も使われていたが、剣は16世紀の兵学書の『紀効新書』に伝承の絶えていたことが記されている。ただ、剣は道教呪術などでは使われていたこともあって、武術ロマンを含む神秘的なイメージをもって近代以降、武当剣を嚆矢として広く套路が公案されるようになった。現在の太極拳には剣の套路を有する派も多いが、例えば楊家と呉家では拳術は大体において同じ動作で構成されているものの剣術は全く違っている。呉全佑は楊露禅そして息子の班侯より教えを受けているので、剣はそれより後に編まれたと考えられる。剣の套路は楊家では澄甫のころ、呉家では鑑泉のころには確実にあったので、露禅からすれば孫あたりに編まれたものと考えるのが妥当であろう。


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