道徳武芸研究 大東流と集合無意識(2)

 道徳武芸研究 大東流と集合無意識(2)

大東流が知られるようになってから、数人を倒して重ねるような演武を合気道でも見るようになった。多人数を同時に相手にすることは剣術でも柔術でも近世では想定されていたことではあるが、特に大東流ではこうした技に工夫が見られる。植芝盛平も多人数を相手の演武は好んでいたようであるが、ただ投げるだけで大東流のように固めるところまではやっていない。また現在の合気道では三人捕りあたりが普通で、それを投げるパターンである。一方、大東流では四人、六人などバリエーションが多く、大体において最後には固めに入っている。よく塩田剛三の大東流の影響を言う人が居るが、それは晩年に数人を重ねるように投げるところからイメージされたもののようである。しかし、こうした傾向は他の合気道の演武でも見ることができる。一方で合気道でのこうした多人数を相手の演武では大東流のように固めることをしないのが特徴である。こうしたことからしても、そこには何らかの大東流から「伝承」があったと考えるよりは、単に大東流からの「影響」であることが妥当であることが分かろう。注目するべきは何故そうした「影響」が生じたかである。


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