道徳武芸研究 大東流と集合無意識(1)

 道徳武芸研究 大東流と集合無意識(1)

集合無意識とはユング派でよく唱えられるものであるが、個人の経験ではなく人類に共通するような意識の働きのことをいう。「時代の熱狂」や「ブーム」といったものの多くがこうした集合無意識に関係すると考えられる。それは確たる理由がないのにも係わらず、多くの人々が共感し得るような考え方の存する理由として考え出されたものであった。かつてのノストラダムスの大予言ブームもそうしたものの一つで、本当に人類の最後が来る云々に具体的な理由があったわけではないが、多くの人が「漠然たる不安」を実際に共有していた。それを牽引した五島勉の著作(1973年の『ノストラダムスの大予言』から)は本来が娯楽オカルト本の類のものであり、通常は一部のオカルト・マニアに楽しまれて消費されてしまうに過ぎない情報であった。それが多くの人に真面目に受け取られたのは、理性ではなく何らかの無意識的な衝動によるものと考えられる。よく当時を振り返って「時代の不安」が背景にあったとなど言われることも多いが、それも情緒的な理由であるに過ぎない。今日「大東流」なるものが合理的な理由もなく武術関係者に受け入れられている。こうしたことの根底には何らかの集合無意識に係る意識の奥深い部分が関係しているのではないかと考える。


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