道徳武芸研究 練功法としての大小架と高低架(4)

 道徳武芸研究 練功法としての大小架と高低架(4)

陳発科は饅頭(パン)を入れた篭を吊るして、時にそれを食べながら一日中練習をしていたという。また王樹金は延々と八卦掌の円周を歩いていたともされている。こうした軽い負荷をかけての練習は心身の調整を取りやすい。火候の調整がしやすいわけである。また高架は実戦の姿勢そのままであるので、その状態で功を練るのは、ひじょうに実戦的であるともされている。しかし、これには長い時間を要する。呉家が次第に高架になって行ったのは家伝であったためである。呉家の伝承者は武術教師であるので、長い練習の時間を確保できた。これは結果として他に職業を持つ弟子が追いつけないシステムであり、呉家の人たちの優位性を保てるものでもあったといえよう。また武家や孫家が広まらないのも練功の難しさが原因となっていると思われる。孫家は形意拳や八卦拳も共に修練するので、こうした拳で大架、低架を練って体を鍛えれば良いのであるが、孫禄堂はそれらも小架、高架にしてしまったので結局、孫家も禄堂は名人とされ優れた著作も残したが、大きく人々に受け入れられることはなかった。このように高低、大小の違いをよく知って、適度に心身にストレスをかけることで、より効率的に功を練ることが可能となるのである。


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