道徳武芸研究 武術とファンタジー〜植芝盛平、銃弾をかわす〜(5)

 道徳武芸研究 武術とファンタジー〜植芝盛平、銃弾をかわす〜(5)

弾丸を避けたとされるエピソードは、この話しが本当かとうかといえば、それは当然のことながら真実ではない。しかし、この話しには合気道における心身のあり方を教える重要な教えが含まれてもいる。つまり合気道では攻撃までのプロセスを、

1、相手が攻撃しようとする意志を固める(攻撃部位の特定)。

2、それに従って体が動き始める。

3、攻撃が完成する。

の三段階において捉えている。しかし、一般的な武術では「2」から攻撃が始まるとする。合気道では通常の武術よりも、できるだけ早い段階で相手の攻撃の起こりを捉えようとするわけである。つまり合気道では「1」の実際には動きの始まらない意識が動いた段階で攻撃が開始されたと見なして、対応する動きに出るわけである。これを盛平は「勝速日(かちはやひ)」とも言っていて、これが合気道修行の核心であるともしている。ちなみに太極拳では「相手が動かなければ、こちらも動かない。相手が動くならば、それより先にこちらは動く」とする拳訣があるが、これを実現させるためには合気道と同じく「1」で動きを始めなければならない。


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