道徳武芸研究 武術とファンタジー〜植芝盛平、銃弾をかわす〜(2)

 道徳武芸研究 武術とファンタジー〜植芝盛平、銃弾をかわす〜(2)

もう一冊は『秘伝日本柔術』であるが、ここでは大東流のところで胴上げをする数人を合気により一気に潰してしまう、とする佐川幸義の写真が出ている。この演武は武田時宗が古武道大会でも演じて会場から失笑が漏れたこともあった。写真を掲載した松田の意図は分からないが、こうした技が実際には使えないものであることも明らかである。興味深いことに、これもまた片手倒立して蹴る「技」の真似をする人が出たのと同様に、古武道大会で演武もされている。つまり、少し冷静に考えれば、こうした「技」が荒唐無稽であることは明らかなのであるが、何かしら強く心惹かれるものがある、ということなのであろう。本来的には攻防という全く現実的な世界にあるはずの「武術」ではあるが、往々にしてこうしたファンタジーの入る要素は古来からあり、そうしたことが名人譚として語り継がれて来てもいる。


このブログの人気の投稿

道徳武芸研究 八卦拳の変化と蟷螂拳の分身八肘(8)

道徳武芸研究 改めての「合気」と「発勁」(6)

道徳武芸研究 八卦拳から合気道を考える〜単双換掌と表裏〜(4)