道徳武芸研究 日本の鍛錬法を考える〜剣術、柔術、相撲〜(4)

 道徳武芸研究 日本の鍛錬法を考える〜剣術、柔術、相撲〜(4)

素振りにより中心軸が開かれれば「合気」も「発勁」も自ずから可能となるのであるが、これらについてもう少し具体的な説明を加えておこう。先ず「合気」の鍛錬として重要となるのは意識を刀の先の方、通常「物打ち」と称される、先から9センチくらい内に入ったところに置くことにある。それによって刀自体の重さによって相手の腕を上げることが可能となる。初心の内はどうしても相手の腕を上げようとするとむやみに力を入れてしまうので、刀の重さを用いることで力を適度に抜いて腕を上げるコツが体得しやすくなる。それが分かれば、この力の加減で相手の腕を上げれば、そのまま「合気」上げとなる。また刀を持つことで両腕の角度などは自ずから正しい位置に置かれる。そうなるのは「合気」が抜刀の時に腕を制せられた状態を想定して考案されているからである。刀を用いての「合気」の体得は「合気」発生の原初の形に近いものとして鍛錬されるわけであるから、これによって「合気」が容易に体得されるのは全くの合理性があるわけである。


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