宋常星『太上道徳経講義』(41ー19)
宋常星『太上道徳経講義』(41ー19)
道は隠れており、名を持つことはない。
これは、この「格言」を含めた十三の「格言」のエッセンスというべきものである。大いなる「道」には音もないし、匂いもない。形もない。至玄、至微なものである。至神、至虚なるものである。天地の間に隠れていて、誰にも知られることがない。万物の中に隠れていて、誰にも知られることはない。それがどのようなものかを知ろうとしても、具体的な形を有しては居ない。その「名」を知ろうとしても、知ることはできない。そうであるから「道は隠れており、名を持つことはない」とされている。ここでは更に道の奥深いところが尽くされ、その奥義が述べられている。
〈奥義伝開〉「名」については第一章にある。「名」が付与されることで人はあらゆるものを認識できる。しかし存在の根源は「名」に限定されるものではない。これが第一章の教えである。「道」とは合理的な法則のことであり、それはいろいろなものとして現れている。しかし総てが合理的存在であることには変わりはない。老子は時々、場面々々での合理性を追究することを求めている。それが「善」なるものの希求である。