道徳武芸研究 龍形八卦掌における換掌式と「三才式」(3)

 道徳武芸研究 龍形八卦掌における換掌式と「三才式」(3)

龍形八卦掌の三つの換掌式は既に触れたように、三才の世界観を反映したものである。つまり単換掌は「人」で中段の変化であり、双換掌は「地」で下段、上下換掌は「天」で上段の変化となる。双換掌は転身をして半馬歩となるが、一部に半馬歩をかなり低く仆歩に近い形で行う人も居る。それはこれが「地」に属するものであることを反映してのことである。また上下換掌は仆歩をとるが、これは下から上への勢いを出すために他ならないのであって、双換掌で使われる仆歩とは意味合いが異なっている。通常、双換掌で半馬歩が用いられるのは、上への勢いを出さないためでもある。このように龍形八卦掌は完全に八卦ではなく形意拳の三才の術理、世界観によって技を構成していることが分かる。ちなみに形意拳では三体式の動きで下丹田、中丹田、上丹田(起)、上丹田、中丹田、下丹田(落)と「起落」の動きによって周天をさせることで三才の統合を行っている。


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