道徳武芸研究 龍形八卦掌における換掌式と「三才式」(2)

 道徳武芸研究 龍形八卦掌における換掌式と「三才式」(2)

本来の八卦拳や八卦掌では原理的に換掌式は単換と双換の二つしかないのであるが、これが龍形八卦掌で三つになっているのは、形意拳の三才式の影響による。三才とは「天、人、地」で、古代の宇宙観を示すものである。形意拳では「頭、胴、足」を「天、人、地」としてその統合を重視する。三才の統合を行うひとつの形が三体式である。原理的にはあらゆる形意拳の動きは総て三体式ということになる。今日、多くの形意拳で「三体式」といえば劈拳かそれに似た動きをいうが、それはその動きが形意拳の根本原理を最も的確に示しているからに他ならない。厳密に言えばただ立っているだけの三才式(混元トウ)から形意拳の基本の動きである「起落翻賛」を含む三体式があり、そこから五行拳の第一である劈拳が生まれたわけである(劈拳の名称は第一を意味する「劈頭」から来たとも言われている)。この三才の世界観は形意拳の根本である。


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