宋常星『太上道徳経講義』(38ー12)
宋常星『太上道徳経講義』(38ー12)
つまりそれ(不安定や虚飾)を排して、これ(安定や着実)を取るということである。
「それ」とは不安定や虚飾のことである。そして実際に行うべきは「これ」である安定や着実となる。正しい人でも、世の中が衰え、道が行われないようになれば、不安定や虚飾から逃れることができなくなってしまう。そこではあえて「安定」や「着実」なことが実践されるべきなのである。知るべきは、正しい人は語ることはなくても天地の造化の働きそのままに行動しているのであり、宇宙の本質をそのままの行為をしているということである。そうしたことが「つまりそれ(不安定や虚飾)を排して、これ(安定や着実)を取るということである」なのである。
〈奥義伝開〉これも格言である。「それを排して、これを取る」は「二兎を追う者は一兎をも得ず」といったところか。それを老子は非合理的なものを排して、合理的なものを取るべきと理解する。神仏のお告げであるとか、占いに出ているとか、古くからの慣習であるとか、といったことに何の考えもなく同調するのではなく、よく合理的に考えて行動することが大切であると教えている。