道徳武芸研究 合気のカタチとしての柔道、五つの形(6)
道徳武芸研究 合気のカタチとしての柔道、五つの形(6)
近代に「合気」が大東流によって世に出るまで、「合気」つまり「柔」を全面的に表に出した徒手武術はなかった。ただ「柔」の伝統は古くは聖徳太子の十七条憲法に「やわらかき(和)」をして争いを止めることが求められていることを見ても、古代より日本人の文化の中でそうしたものが涵養されて来たことは樹分に伺える。これは近世になって「相抜(あいぬけ)」として提示される。針ヶ谷夕雲(無住心剣)は、絶対的な境地に到達した者が立ち会えば攻防は生まれず、互いにすれ違うだけで試合は終わる、と考えた。しかし、それは現実とはならず「相抜」は剣術の中において忘れ去られてしまう。近世において「合気」は「相気」と書かれることが多かったことからして、「相抜」は「合抜」とすることが出来るのではなかろうか。つまり「相抜」は「合(気)抜」であったのである。