道徳武芸研究 合気のカタチとしての柔道、五つの形(3)

 道徳武芸研究 合気のカタチとしての柔道、五つの形(3)

合気は日本の「柔(やわら)」の展開の最後の形として出てきたものである。嘉納治五郎もそれを感じていたようで、弟子を植芝盛平のところに送って技を研究しようとしていた。またここで取り上げている五の形もそうした嘉納の「柔」研究の中に位置付けることのできるものである。さらに言うならこうした「合気」は「儀式」的な形としてしか練習することができないのではないかと考えていた可能性のある。これを実戦技として練習することの危険性を嘉納は考えていたのかもしれない。五の形の一本目は相手の胸を押すだけで倒すもので、これは完全に合気の技である。二本目は相手が押してくる勢いに合わせて投げている。三本目は螺旋の動きの勢いに相手を巻き込んで投げる。四本目は一本目と同じで胸に触れて押す形であるが、一本目が前進するのに対して四本目は後退しながらなので、これは表と裏とすることもできよう。そして五本目はすれ違いざまに触れることなく相手を投げている。これはおそらく現在、見ることのできる「柔」の最も純粋な形と言えよう。


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