道徳武芸研究 合気のカタチとしての柔道、五つの形(2)
道徳武芸研究 合気のカタチとしての柔道、五つの形(2)
合気は大東流が徒手武術として展開して行く中で発達したもので、もとは御信用の手という抜刀術に付随する簡単な逆手術であったものが近代以降、大東流が「柔術」として修行されるようになると、おおいに発展して行くこととなったのである。合気が相手の反応を誘うことでその体勢を崩す技法であるとするなら、それを拡大すれば関節の逆を取らなくても相手に触れて反応を引き出すことのみで体勢を崩すことができるのではないかと考えられるようになったのである。こうした発想が容易に「技」として結実して行ったのは、大東流が形稽古をのみ行うものであったことが原因していよう。合気を実現させるには、受け手の「条件」が整っていなければならない。一定の状態を保ち続けなければならないのである。相手からの第一のアプローチ(押すなど)をそのままに受けて次のアプローチを受け入れる。そうでなければ、合気のようなデリケートな技は成り立たない。普通であれば第一のアプローチから第二のアプローチの間にある程度、体勢を立て直したりの変化は当然、発生するのであるのであるが、それをあえてしないようにしなければ合気は成り立たないのである。このあたりの「条件」付けが武術の技として許容される範囲かどうかについては疑問視されることも少なくない。