道徳武芸研究 八卦拳の変化と蟷螂拳の分身八肘(2)

 道徳武芸研究 八卦拳の変化と蟷螂拳の分身八肘(2)

形意拳の「明・暗・化」の「化」も太極拳の「神明」や八卦拳の「変」と同じく心身が統一された状態を言っている。ただこの「化」については発勁、化勁、聴勁などという場合の「化」と、「明・暗・化」という場合の「化」の違いについての誤解がまま見受けられるようである。「化勁」は相手の攻撃してくる力を受けることのできる能力のことである。また発勁は攻撃できる力を発することのできる能力のこと、聴勁は相手の動きを知ることのできる能力のことである。ほかにもいろいろな武術的な能力のことを「〜勁」と称することがある。しかし「明・暗・化」の「化」はこうした個々の能力ではなく全般的なレベルを示すもので、心身の統一された状態をいうことは既に述べた通りである。形意拳では「明」で基本的な攻防の力を養う。これは一般的な武術各派とそれ程おおきな違いはない。八卦拳ではこの段階が基本となるので「定」とする(「定」には「まとまる」「さだまる」といった意味がある)。そして「暗」ではより細密な動きを練る。ここで言う「細密」とは内三合(心、意、力)、外三合(手、肘、肩 足、膝、胯)が協調して働いている状態のことである。


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